メトリック (計量)

メトリック (計量)距離を決める基本要素 のこと。 つまり 距離や長さを定義するのに必要なテンソル ってこと。

数学的に書くと 2点間の距離ベクトルの長さ を定義するために導入する ランク2対称共変テンソル

\(g_{\mu \nu}(x)\) と表記する。 \((x)\) と付けてあるのは、計量が時空(の点)の関数であることを意味していて、つまり場所場所で異なった値になってるということ。 つまり、平坦ではなく、ぐにゃぐにゃしている面を想像すればよい。

計算の際は、毎回書くと煩雑なので省略して書かれることが多く、気がついた時に思い出す程度で良い。

メトリックとリーマン曲率テンソル

リーマン曲率テンソルの定義式(教科書p.124 式(9.26)参照)を思い出してみる。

\[\begin{align} R^{\mu}_{\nu \lambda \kappa} & = \partial_{\lambda} \Gamma^{\mu}_{\nu \kappa} - \partial_{\kappa} \Gamma^{\mu}_{\nu \lambda} + \Gamma^{\mu}_{\eta \lambda} \Gamma^{\eta}_{\nu \kappa} - \Gamma^{\mu}_{\eta \kappa} \Gamma^{\eta}_{\nu \lambda} \end{align}\]

クリストッフェル記号の1階微分が含まれているので、 メトリックの2階微分が出てくることが分かる。

つまり

メトリック→(微分)→接続(クリストッフェル記号)→(微分)→リーマン曲率テンソル

リーマン曲率テンソルの式からの対称性

\(\kappa \leftrightarrow \lambda\) を入れ替えた成分は 符号が反対 になってる。

\[\begin{align} R^{\mu}_{\nu \lambda \kappa} &= - R^{\mu}_{\nu \kappa \lambda} \end{align}\]

クリストッフェル記号の対称性からくる対称性

ぱっと見ると違いが分からないが、上の添字 \(\mu\) はそのままで、 下の添字の \(\nu, \lambda, \kappa\) が順番に入れ替わっている (たしか、これを巡回置換と言ったような)。 これらを足し合わせると0なる。

\[\begin{align} R^{\mu}_{\nu \lambda \kappa} + R^{\mu}_{\kappa \nu \lambda } + R^{\mu}_{\lambda \kappa \nu} &= 0 \end{align}\]

4階共変テンソル

反変成分(上付き添字1個)を、計量テンソルをつかって下に降ろして、4階共変テンソルを計算してみる。

\[\begin{align} R_{\mu \nu \lambda \kappa} &= g_{\mu \tau}R^{\tau}_{\nu \lambda \kappa}\\ &= \frac{1}{2} ( \partial_{\nu}\partial_{\lambda} g_{\mu \kappa} + \partial_{\mu}\partial_{\kappa} g_{\nu \lambda} - \partial_{\mu}\partial_{\lambda} g_{\nu \kappa} - \partial_{\nu}\partial_{\kappa} g_{\mu \lambda} ) + g_{\eta \tau} (\Gamma^{\eta}_{\mu \kappa} \Gamma^{\tau}_{\nu \lambda} - \Gamma^{\eta}_{\mu \lambda} \Gamma^{\tau}_{\nu \kappa}) \end{align}\]

上の式から、以下のような関係式が得られるらしい。

\[\begin{align} R_{\mu \nu \lambda \kappa} &= R_{\lambda \kappa \mu \nu}\\ R_{\mu \nu \lambda \kappa} &= - R_{\nu \mu \lambda \kappa}\\ R_{\mu \nu \lambda \kappa} &= - R_{\mu \nu \kappa \lambda}\\ R_{\mu \nu \lambda \kappa} + R_{\mu \kappa \lambda \nu} + R_{\mu \lambda \kappa \nu} &= 0 \end{align}\]

上の3つの式に関しては、下添字の移動に注目して眺める。 左辺の添字の中身を何回移動させれば、右辺の添字と同じ順番になるかを考える。 移動回数が偶数回であればプラス、奇数回であればマイナスになる。

計算はめんどくさそうなので、後回しにする(もしくはやらない)けど、 関係式として大事なのはそこ。

リッチ・テンソル

リッチ・テンソルはランク2のリーマン曲率テンソル。 (なので、リッチ・テンソルの \(R\) は リーマン(Riemann)の \(R\) だと思われる)

\[\begin{align} R_{\mu \nu} & \equiv R ^{k} _{\mu \kappa \nu} = g^{\kappa \eta} R_{\eta \mu \kappa \nu} \end{align}\]

上の式は、たぶん、右から読むと、きちんと読める。

まず、リーマン曲率テンソル \(R_{\eta \mu \kappa \nu}\)縮約をとる という計算式が、 右辺のように計量テンソル \(g^{\kappa \eta}\) を掛けるという形になっている。 なぜ、この形になのかは、いま読んだところでは理解できてないので置いておく。 とりあえずこうなる!

計量テンソルは 添字の文字を置き換えて、更に上下を入れ替える 性質を持っているので、 \(R_{\eta \mu \kappa \nu}\) に付いている \(\eta\)\(\kappa\) に置き換わったのち ( \(R_{\eta \mu \kappa \nu} \rightarrow R_{\kappa \mu \kappa \nu}\))、 その \(\kappa\) が上に移動してる( \(R_{\kappa \mu \kappa \nu} \rightarrow R^{\kappa}_{\mu \kappa \nu}\) )。 このとき、計量 \(g^{\kappa \eta}\) は役目を終えたので消えている。

さらに \(R^{\kappa}_{\mu \kappa \nu}\) の添字をみると \(\kappa\) が上下に存在するので、 (これを毎回書くのがめんどくさいから) \(R_{\mu \nu}\) と定義して リッチ・テンソル と呼ぶことにしまーす、と言っている。